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生理の悩み

生理痛(月経困難症)について

生理の悩みとしてよくあるのが、生理痛です。生理痛とは、生理が始まる前や始まった後に、お腹や腰、太ももなどに痛みを感じることです。

日本労働研究機構が2022年に行った調査では、生理痛が「ある・あった」が57.0%、「時々ある・あった」が33.4%でした。これは90.4%の女性が、生理痛を経験していることになります。

 

参照元:ビジネス・レーバー・トレンド2022年8・9月号

生理痛の程度は個人差があります。生理痛が重い方は、日常生活に支障をきたすことがあるので注意しましょう。

重度の場合は月経困難症とも呼ばれ、医学的な疾患として認められています。月経困難症は、生理痛以外に頭痛や脱力、イライラ、抑うつなどの症状があります。

生理痛の原因

生理痛は、生理のときに子宮がギュッと縮むことで起こります。 子宮が縮むのは、子宮の中にある血や組織を外に出すためです。子宮を縮めるために必要なのがプロスタグランジンという物質です。 量が多くなると子宮が 強く縮むため、痛みが強くなります。このプロスタグランジンは、生理が始まったばかりや閉経が近いときは増えやすくなりま す。また、ストレスや食生活などもプロスタグランジンの量に影響するため注意が必要で す。

ストレス

ストレスによって体が緊張して血圧や心臓の動きが速くなります。 ストレスに対応するため に体がホルモンをたくさん出し、 子宮の血の巡りが悪くなります。

その結果、子宮が収縮する物質が多くなるのです。 そのため、ストレスが強いときには強い 痛みに注意が必要です。

またストレスによって身体が緊張すると、 お腹や腰、 太ももなどの筋肉も硬くなり、これも 生理痛の原因になります。

食生活

カフェインやアルコールなどは血管を細くして血の巡りを悪くします。その結果、子宮が収縮する物質の働きを強くします。

そのため、自分の体調や生活習慣に合わせて気をつけることが大切です。また、塩分や油分の多い食べ物は、むくみやだるさが増すため、 摂りすぎに注意しましょ う。

子宮に異常がある

子宮に異常があると、生理中に子宮内膜が剥がれ落ちるときに、通常よりも強い収縮や出血を起こします。その結果、激しい痛みや不快感を感じます。

生理痛は、女性の健康と生活の質に大きく影響する問題です。 生理痛が強い場合や日常生活 に支障をきたす場合は、 婦人科で診察を受けることをおすすめします。

生理痛の原因には子宮内膜症、子宮筋腫などの病気の可能性があります。

生理痛で疑う病気

生理痛の原因には、子宮や卵巣に問題があるのかもしれません。年齢や生理痛の程度、生理痛の性質などによっても異なります。

例えば、20代前半の女性で、生理痛が徐々にひどくなってきた場合は注意しましょう。以下のような場合は注意が必要です。

  • 生理の量が多く、 めまいや立ちくらみなどの貧血症状がある

  • 生理の日数が長い (8日以上続く)

  • 生理のとき以外にも、下腹部痛、腰痛や排便時痛などがある

  • 生理のとき以外にも出血がある

  • 生理の度に日常生活が送れないほどの痛みがある

ただし、生理痛の原因は個人差があり、必ずしも病気があるというわけではありません。 必要以上に不安にならずに、 まずは医師に相談することをおすすめします。

生理痛で疑う病気は、以下のとおりです。

  • 子宮内膜症

  • 子宮筋腫

  • 卵巣のう腫

  • 子宮腺筋症

  • 子宮頸がん

  • 子宮体がん

生理痛で疑う病気としては、子宮内膜症や子宮筋腫、卵巣のう腫などが主に挙げられます。また、子宮頸がんや子宮体がんは、生理痛だけでなく、他の重篤な症状も出ることがあります。

子宮内膜症

子宮内膜症は、子宮の中にある子宮内膜という組織が、子宮の外にできる病気です。

子宮内膜は、生理のたびに剥がれ落ちて出血しますが、子宮の外にある場合は、出血した血液が体内に溜まってしまいます。これが炎症や癒着を引き起こして、激しい痛みや不妊などの問題を起こします。

子宮内膜症は、20代から40代の女性に多く見られる病気です。子宮内膜症になる原因はまだはっきりわかっていません。

子宮内膜症は、生理痛だけでなく、生理のとき以外にも下腹部痛や腰痛、排便時痛や性交時痛などを感じることがあります。

子宮筋腫

子宮筋腫は、子宮の筋肉層にできる良性のしこりのことです。

子宮筋腫は、女性ホルモンによって大きくなったり小さくなったりします。子宮筋腫があると、生理の量が多くなったり、生理痛がひどくなったり、妊娠しにくくなることがあります。

子宮筋腫はけっして珍しいものではありません。

30歳以上の女性のうち、2~3割にみられますが、ほとんどは小さくて症状がないため、気づかないことも多い病気です。

卵巣のう腫

卵巣のう腫は、卵巣にできる液体が入った袋状の腫瘍のことです。

卵巣のう腫は、ほとんどが良性で、症状がない場合が多い病気です。しかし、卵巣のう腫が 大きくなったり捻れると、激しい痛みや出血などの合併症を起こすことがあります。

卵巣のう腫は、基本的に治療は必要ありません。 ただし、稀に悪性になることもあります。

子宮腺筋症

子宮腺筋症は、子宮の中にある子宮内膜という組織が、子宮の筋肉層に入り込んでしまう病気です。

症状は、生理中や生理前後に強い痛みを引き起こしたり、生理の時の出血量が多くなります。また、不妊や流産の原因になることがあります。

子宮腺筋症は、女性ホルモンの影響を受けて進行しますが、閉経後には症状が改善されることがほとんどです。子宮腺筋症の原因はまだはっきりわかっていません。

子宮頸がん

子宮頸がんは、子宮の入り口にある子宮頸部に発生するがんのことです。

子宮頸がんは、ヒトパピローマウイルス(HPV) というウイルスに感染することが主な原因です。このウイルスは、性交渉によって感染することが多くみられます。

早期には自覚症状がほとんどありません。しかし、進行すると出血や痛みなどの症状が現れます

子宮頸がんは、20代から30代の若い女性に増えています。

子宮体がん

子宮体がんは、子宮の中にある子宮内膜という組織から発生するがんのことです。

閉経後の女性に多く見られるがんで、50~60歳代が発症のピークになります。子宮体がんの主な原因は、女性ホルモンのバランスの乱れや肥満などです。

子宮体がんの最も多い症状は、月経ではない期間や閉経後に出血があることです。 他にも、下腹部痛や腹部膨満感などがみられます。

生理痛の治療法

生理痛の治療法には、主に以下の3つがあります。

  • 薬物療法

  • 非薬物療法

  • 手術療法

生理痛の治療法について、それぞれ紹介していきます。

薬物療法

薬物療法とは、鎮痛薬やホルモン剤などを服用することで、 生理痛を和らげる方法です。

鎮痛薬

生理痛を和らげるためには、鎮痛薬を服用することが有効です。

鎮痛薬には、プロスタグランジンの分泌を抑えるNSAIDs (非ステロイド性抗炎症薬)や、鎮静作用のある麻酔薬などがあります。鎮痛薬は市販されているものもありますが、自己判断で服用するのではなく、必ず医師や薬剤師に相談してください。

また、鎮痛薬は副作用もあるため、 必要な量と期間を守って服用しましょう。

低用量ピルやミレーナ

ピルやミレーナは避妊効果だけでなく、 生理痛の治療効果もあります。

ピルは女性ホルモンを補充することで、子宮内膜の増殖を抑えて生理量を減らし、生理周期を整えます。

ミレーナは子宮内に装着する避妊器具です。黄体ホルモンを放出して子宮内膜の増殖を抑えます。

ピルやミレーナは、必ず医師の指示に従って使用しましょう。

漢方やサプリメント

漢方では桂枝茯苓丸や当帰芍薬散などがよく用いられます。サプリメントではマグネシウムやビタミンB6などが効果的とされています。

ただし、漢方やサプリメントには科学的な根拠が不十分なものも多く、副作用や相互作用の可能性もあるため注意が必要です。漢方やサプリメントを使用する場合は、必ず医師や専門家に相談してください。

非薬物療法

非薬物療法とは、薬を使わずに生理痛を和らげる方法です。

手術療法

生理痛の原因に、子宮内膜症や子宮筋腫などがあります。これらの病気は、手術で取り除かないと改善しない場合があります。

これは、生理痛の原因となる病気を根本的に治す方法です。

術式や範囲によってリスクや副作用が異なります。 そのため、妊娠の可能性や再発の可能性も考慮する必要があります。

生理不順(月経不順) について

生理不順(月経不順) とは、女性の生理周期や出血量、 出血日数などが正常な範囲から外れることを言います。生理周期の異常とは、月経周期が正常な24~38日よりも短かったり長かったりすることです。

生理周期の異常の原因はさまざまで、ストレスや生活習慣の乱れ、ホルモンバランスの変化、子宮や卵巣などの病気が考えられます。

生理周期の異常には以下のような種類があります。

頻発月経

月経周期が24日以下と短いもの。排卵がない無排卵周期症や黄体機能不全などが原因となることが多い。妊娠しにくくなったり、 流産しやすくなったりする可能性がある。

稀発月経

月経周期が39日以上と長いもの。卵巣機能の低下やホルモン分泌の減少などが原因となることが多い。排卵が起こらない場合は不妊の原因となる可能性がある。

無月経

3ヶ月以上月経が来ないもの。原発性無月経と続発性無月経に分けられる。ホルモン分泌の停止や卵巣機能の消失などが原因となることが多い。長期間放置すると閉経や骨粗鬆症などのリスクが高まる。

不整周期月経

月経周期がバラバラで予測がつかないもの。 思春期や更年期に多くみられる。

生理周期の異常は女性の健康や妊娠に影響する可能性があるので、放置せずに医師に相談することが大切です。

低用量ピルとは

低用量ピルとは、女性ホルモンの一種であるエストロゲンとプロゲステロンを含む錠剤のことです。

低用量ピルは、毎日決まった時間に服用することで、卵巣から卵子が排出される排卵を抑制し、子宮内膜の増殖を抑えるため、避妊効果を発揮します。

低用量ピルは高用量ピルに比べてエストロゲンの量が少ないため、副作用が少なく、生理痛や生理不順などの月経トラブルの改善にも効果があります。

低用量ピルは婦人科で処方されるもので、 医師の指示に従って使用しましょう。

低用量ピルを処方できないケース

低用量ピルを処方できないケースとは、低用量ピルの服用によって健康上のリスクが高まる場合や、低用量ピルの効果が低下する場合です。具体的には以下のような状況が該当しま す。

  • 喫煙している35歳以上

  • 高血圧などの心血管疾患の危険因子がある

  • 静脈血栓塞栓症などの既往歴がある

  • 片頭痛がある

  • 乳がんの既往歴がある

  • 糖尿病の基礎疾患がある

  • 肝臓の機能障害がある

  • 低用量ピルの効果に影響を及ぼす薬剤を服用している

  • 分娩後6週以内で母乳栄養を行っている

低用量ピルを服用することで血栓症や心筋梗塞、脳卒中などの重篤な副作用が起こる可能性が高くなったり、避妊効果が十分に得られなかったりする恐れがあります。

もし低用量ピルを服用したい場合は、必ず医師に相談してください。

低用量ピルの月経への効果

低用量ピルは、月経にも様々な効果があります。低用量ピルの月経への効果には、以下のようなものがあります。

  • 生理量の減少

  • 生理周期の調整

  • 生理日数の短縮

  • 生理痛の軽減

低用量ピルを服用することで、 月経トラブルや不便さを解消することが可能です。しかし、低用量ピルには副作用やリスクもあります。

生理量の減少

子宮内膜の増殖を抑えることで、生理量を減らせます。生理量が多い場合や貧血がある場合に有効です。

生理量が減ることで、生理痛や月経前症候群も軽減される可能性があります。

生理周期の調整

毎日決まった時間に服用することで、ホルモンバランスが整えられ生理周期を調整できます。生理周期が不規則な場合や生理が来ない場合に有効です。

生理周期が調整されることで、排卵日や安全日などを予測しやすくなります。

生理日数の短縮

子宮内膜が薄くなることで、生理日数を短くできます。生理日数が長い場合や不快感がある場合に有効です。

生理日数が短くなると、生理の不快感を軽減できて生活や旅行などに便利です。

生理痛の軽減

低用量ピルは、子宮内膜の増殖を抑えるだけでなく、子宮の収縮を抑える作用もあります。そのため、生理痛や月経前症候群の症状が軽減される可能性があります。

低用量ピルの副作用

低用量ピルは多くの効果がありますが、副作用もあります。低用量ピルの副作用には、以下のようなものがあります。

  • 出血や不正出血

  • 乳房の張りや痛み

  • 頭痛や吐き気

  • 体重の増減

  • 気分の変化

  • 血栓症

副作用は個人差があり、すべての人に起こるわけではありません。副作用は服用を続けると改善することもありますが、症状がひどい場合や長く続く場合は医師に相談してください。

出血や不正出血

低用量ピルを服用することで、生理以外の時期に出血や不正出血が起こることがあります。

ホルモンによって子宮内膜が薄くなったり、剥がれたりすることが原因です。最初の数ヶ月間やピルを忘れて服用しなかった場合に、出血や不正出血が起こりやすくなります。

出血や不正出血がひどい場合や長く続く場合は、医師に相談してください。

乳房の張りや痛み

低用量ピルを服用することで、 乳房の張りや痛みが起こることがあります。

乳房の張りや痛みは、ホルモンの影響によるもので、慣れるまでの数ヶ月間に起こりやすく、その後は改善されることが多いです。

頭痛や吐き気

低用量ピルを服用することで、 頭痛や吐き気が起こることがあります。 服用を続けていると、だいたい2~3か月程度で落ち着くことがほとんどです。

体重の増減

低用量ピルを服用することで、 むくみや体重の増減が起こることがあります。

体重の増減は個人差があります。 水分補給や適度な運動を心がけることで予防が可能です。

気分の変化

低用量ピルを服用することで、 気分の変化が起こることがあります。

気分の変化は、女性ホルモンの影響によるもので、イライラや落ち込みなどがあらわれることがあります。 気分の変化がひどい場合や気になる場合は、医師に相談してください。

血栓症

ピルに含まれるエストロゲンによって血液の凝固能力が高まることで起こります。

血管内に血栓(血液の塊) ができて、血流を妨げることで、心筋梗塞や脳卒中などの重大な 合併症を引き起こす可能性があります。 喫煙や高血圧などの危険因子を持つ人は特に注意が必要です。

ミレーナ(IUS)について

ミレーナとは、IUS (子宮内避妊システム) とも呼ばれます。 3cmほどのT字型のプラスチックの器具に黄体ホルモンを含む筒がついており、子宮内に挿入されます。

子宮内に装着する避妊器具の一種です。

子宮内に入れておくことで黄体ホルモンを放出し、子宮内膜の増殖を抑える働きがあります。その結果、生理の量が減り、生理痛を軽くする効果があるとされています。

ミレーナは婦人科で処方されるもので、医師によって装着されます。低用量ピルが内服できない方でも、ミレーナは使用可能です。

特徴

長期間にわたる避妊効果

ミレーナは一度装着すれば、最長で5年間有効な避妊効果があります。そのため、毎日ピルを服用する必要がなく、 避妊の手間や忘れる心配がありません。また、ミレーナはいつでも取り外すことができ、取り外した後はすぐに妊娠能力が回復しま す。

高い避妊効果

ミレーナは非常に高い避妊効果があります。使用している女性の1年間の妊娠率は0.2%以下とされており、これは経口避妊薬やコンドームよりも高い数値です。また、ミレーナは子宮内に直接作用するため、 吐き気や下痢などで効果が低下する心配があ りません。

生理痛や生理不順の改善

ミレーナは生理痛や生理不順にも効果があります。 子宮内膜の増殖を抑えることで、生理量や生理日数を減らし、生理痛や月経困難症を軽減します。

注意点

  • 有効期間は5年間なので、5年後には交換しないといけません。

  • 感染症や性感染症(STD) の予防にはなりません。 感染症やSTDのリスクがある場合は、コンドームなどを併用することが必要です。

  • 稀に子宮からずれたり脱落したりすることがあります。その場合、避妊効果が低下したり感染する可能性があります。

  • 定期的に受診して、ミレーナの茎部についている紐を確認することが大切です。

  • ミレーナは、妊娠中や妊娠している可能性がある場合、感染症や子宮奇形などの禁忌がある場合は使用できません。

​【参考サイト】

月経困難症とは ~生理痛、我慢していませんか?~ | 総合東京病院【公式】中野区 練馬区 24時間救急受入

月経困難症 | 女性の健康推進室 ヘルスケアラボ

生理痛の症状とは?~痛みの原因や注意が必要な生理痛について解説~ | メディカルノート 

生理痛の原因とは~月経困難症の原因と治療法~ | メディカルノート 

子宮内膜症|日本産科婦人科学会

子宮筋腫|日本産科婦人科学会

卵巣のう腫 - 基礎知識(症状・原因・治療など) | MEDLEY(メドレー)

子宮腺筋症|一般の皆様へ|日本内分泌学会 

子宮頸がん|日本産科婦人科学会

子宮体がん|日本産科婦人科学会

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