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卵巣嚢腫

卵巣嚢腫とは

卵巣嚢(のう)腫とは、卵巣にできる液体が入った袋状の良性の腫瘍です。卵巣は女性の生殖器の一部で、毎月卵子を作り卵管を通って子宮に運ばれます。妊娠すると、子宮に着床した受精卵が胎児に成長します。

卵巣嚢腫は、卵巣の中に分泌液がたまって腫れてしまうもので、イメージとしては、ぶよぶよした水風船みたいなものです。

卵巣嚢腫の種類

卵巣嚢腫には、以下のような種類があります。

  • 漿液性囊腫
    卵巣の細胞からできるサラサラした液体がたまるもので、卵巣嚢腫のなかで最も多いタイプです。10代~30代に多くみられます。
     

  • 粘液性嚢腫
    卵巣の細胞からできるネバネバした粘液がたまるもので、閉経後の女性に多いタイプです。時間が経つと、大きくなることもあります。
     

  • 皮樣囊腫
    髪の毛や歯などの成分が含まれるものが溜まります。20代~30代の女性に多いタイプです。 妊娠中に見つかることもあります。
     

  • チョコレート嚢腫
    子宮内膜症が卵巣内にできて、月経のたびに茶色いドロドロしたものが溜まります。

卵巣嚢腫の症状

卵巣嚢腫は、小さい場合や良性は無症状であることが特徴です。しかし、大きくなったり悪性化したりすると、以下のような症状が出ることがあります。

  • 腹部の膨満感や圧迫感

  • 下腹部の痛みや重だるさ、 便秘

  • 頻尿や排尿困難

  • 月経不順や不正出血

  • 卵巣がねじれたり破れたりすると、激しい腹痛や吐き気など

卵巣嚢腫の診断

検診や他の病気の検査で偶然見つかることが多い病気です。通常は以下の様な検査で診断します。

  • 問診・内診

  • 超音波検査

  • 画像検査

  • 血液検査

  • 病理検査

卵巣嚢腫の診断にはさまざまな検査が必要です。

超音波検査

超音波検査は卵巣嚢腫の診断に最も有用な検査です。しかし、漿液性嚢胞腺腫や粘液性嚢胞腺腫の場合は判断しにくい場合があります。

画像検査

超音波検査だけでは不明な場合や、悪性の可能性が高い場合に行われます。MRI検査は卵巣嚢腫の内部構造や血流を詳しく見ることが可能です。また、CT検査は卵巣嚢腫の大きさや位置、周囲の臓器への浸潤などを評価できます。

血液検査(腫瘍マーカーなど)

卵巣嚢腫の種類や悪性度を推測するために行われます。腫瘍マーカーとは、がん細胞やその周囲の組織から分泌される物質のことです。血液中の濃度が高くなるとがんの存在を示す可能性があります。

ただし、卵巣嚢腫の診断時には、他の検査と併せて判断することが必要です。腫瘍マーカーはがんだけで上昇するわけではなく、良性の病気や妊娠などでも上昇することがあるからです。また、がんでも上昇しない場合もあります。

病理検査

病理検査は卵巣嚢腫の最終的な診断に必要な検査です。手術で取り出した卵巣嚢腫の組織を顕微鏡で観察して、良性か悪性かを確定します。また、卵巣嚢腫の種類や分化度なども判定します。

卵巣嚢腫の治療法

卵巣嚢腫はほとんどの場合は良性で、自然に消えることもあります。しかし、悪性の可能性や合併症のリスクもあるため、定期的に検査を受けて診察を受けることが大切です。

小さくて無症状かつ良性の場合は、治療をせずに定期検査で経過観察をすることがあります。治療法は、腫瘍のタイプや大きさ、年齢や妊娠・出産の希望などによって違います。

卵巣嚢腫には治療薬がありません。ただし、チョコレート嚢腫の場合は、ホルモン剤を服用して腫瘍を縮小させられます。

卵巣嚢腫は、急な腹痛や出血などの合併症を引き起こすことがあります。また、卵巣嚢腫が悪性化する可能性もゼロではありません。この場合には基本的に手術をします。手術には開腹手術、腹腔鏡手術があります。

良性の場合は腫瘍だけ取って卵巣自体は温存できるかもしれません。しかし悪性の場合は卵巣だけでなく子宮やリンパ節なども取り除く場合があります。

また妊娠中の場合は、卵巣嚢腫が出血や破裂などの合併症を起こしやすいので、小さめの腫瘍でも手術することがあります。

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