助産師になるには?資格・学校・費用まで徹底解説
- HEIWA SOTOMURA

- 10月30日
- 読了時間: 11分
助産師は妊娠や出産、産後の母子ケアに深く関わり、女性や赤ちゃんを支える重要な医療職です。安心して出産や育児に臨めるよう、多面的なサポートを行う役割が求められます。本記事では、助産師を目指すために必要な資格や学校選び、学費、就職先など幅広い情報をわかりやすくまとめました。看護師免許の取得と助産師養成課程への進学が必要になるため、具体的なルートや勉強のポイントを整理しています。
これから助産師として活躍したいと考えている方へ向けて、専門性や働き方、適性についても詳しく解説します。ぜひ最後まで読み進めて、将来への道筋をクリアにしましょう。
助産師とは?役割と仕事内容
まずは助産師という職業がどのような使命を担っているのか、その概要を把握することが大切です。
助産師は女性の妊娠から出産、そして産後のケアまで、母子の健康を支える医療専門職です。具体的には、妊産婦の身体的ケアや心理的サポート、新生児の健康管理など多岐にわたる業務を実施します。安心・安全な出産をサポートするだけでなく、女性のライフステージ全体に寄り添い、健康教育や相談業務にも深く関わります。
助産師の概要と果たす役割
助産師は妊娠期から出産、産後、育児期に至るまで、女性と赤ちゃんを総合的にサポートします。医学的な観点だけでなく、心のケアや社会的支援も含む幅広い知識とスキルが要求されます。母体と胎児、新生児の安全を最優先とし、出産に伴うリスクを管理しながら女性の自然な出産を尊重する立場です。
妊産婦ケア・分娩介助・新生児ケアなど具体的な業務
妊娠中の健康状態を観察し、日常生活の指導を行うほか、不安を抱える妊婦へのメンタルケアも行います。分娩時には医師と協力しながら、陣痛や分娩の進行管理、産後の子宮収縮などを把握し、必要な措置をするのが主な仕事です。さらに、新生児の体重や体温、哺乳状況などをチェックし、ケアの必要性があれば指導やサポートを提供します。
助産師になるための条件
助産師を目指す際には、看護師資格を取得し、助産師養成課程を修了するという特定の手順が不可欠です。
助産師になるためには、まず看護系大学や看護専門学校で看護師国家試験に合格し、看護師免許を取得する必要があります。その後、大学や専修学校などで助産師養成課程を修了し、助産師国家試験に合格して初めて免許が得られます。日本の法律では助産師資格は女性だけが取得可能と定められている点も特徴で、これが他の医療資格とは異なる部分です。
看護師国家資格の取得
助産師になる前段階として看護師免許が必要です。看護系大学や専門学校で学び、看護師国家試験に合格しない限り、次のステップには進めません。看護師としての実践力や基礎知識が、助産師としての専門性を高める土台となります。
助産師養成課程への進学と国家試験取得
看護師免許取得後、大学の専攻科や専修学校に設置されている助産師養成課程に進むことで、助産師国家試験の受験資格を得られます。助産師専用の演習や実習が数多く組み込まれているため、専門性の高い技術を身に付けることができます。妊産婦や新生児のケアの現場で即戦力として活躍するために、実践的な経験を積むことは特に重要です。
女性であることが必須とされる理由
現行の日本の法律では、助産師は女性のみがなることが許可されています。これは出産を控えた女性が安心してケアを受けられるよう、身体的・心理的なプライバシー保護といった要素が大きく影響しています。女性の心身の変化に対する共感的理解が必要とされるため、従来から女性限定の医療資格とされている面もあります。
助産師国家試験の合格率・難易度
助産師国家試験は比較的高い合格率を誇る一方、専門的な知識と技術を問われる難易度の高い試験とも言われます。助産師国家試験では、妊娠から出産・育児にかかわる医学的内容や、地域保健における母子支援など幅広い範囲が出題されます。看護師国家試験と比べると受験者数は少ないですが、実習に基づいた深い理解が求められるため、計画的な勉強が欠かせません。過去には90%を超える高い合格率を維持している年もあり、しっかりとした学習計画と模擬試験対策を行うことがポイントとなります。
試験内容と出題傾向
試験範囲には助産学、母子看護学、女性の生殖機能や生命倫理など多岐にわたる内容が含まれます。実技に関連する理論問題や場面設定による応用問題も出題されるため、座学だけでなく実習経験を踏まえた総合的な理解が大切です。最近は助産院や地域保健の分野に関する問いも多く出されており、より実践的な知識が重視されています。
合格率の推移と対策ポイント
合格率は例年90%を上回ることが多く、一見すると高い数字ですが、試験に臨む段階で既に専門的な教育を受けていることが背景にあります。試験直前の模試や過去問題の徹底演習だけでなく、講義や実習中の学びを着実に復習することも大切です。特に論述が求められる部分については、事前に解答の型を身につけると本番で落ち着いて対応できるでしょう。
助産師を目指せる学校・進学ルート
助産師養成課程は大学や専門学校などさまざまな教育機関で提供されており、自分の学習スタイルや将来設計に合わせた進路選択が重要です。
助産師課程を設置している大学では、研究や論文作成の機会もあるため、よりアカデミックに学びたい方に向いています。一方、専門学校は現場で利用する技術や演習が多く導入されているケースが多く、即戦力としての就職を目指すなら有力な選択肢です。ただし、短大は助産師課程が併設されていない場合もあるため、進学前に要確認です。
大学・短大・専門学校の違い
大学では専門的な知識はもちろん、研究活動や海外研修などのチャンスが得られる場合があります。短期大学は期間が短いメリットがある反面、受けられる助産師課程自体が少ないため事前の情報収集が重要です。専門学校は実習や臨床経験に重きを置き、就職先の病院との強い連携があることも特徴で、実践的スキルを着実に身につけられます。
助産師課程がない場合の進路
看護系学校によっては助産師養成課程が設置されていない場合もありますが、その後に助産師養成所や大学の専攻科へ進むルートがあります。看護師免許取得後に改めて進学するため、時間や費用はかかるものの、学んだ看護経験を活かしやすいのが利点です。必要な教科や実習内容を補完的に学ぶことができるため、実践力には定評があります。
助産師になるための学費と費用
大学や専門学校など進学先によって大きく差が出る学費ですが、奨学金や給付金制度を上手に活用すれば負担を軽減できます。
助産師養成課程の学費は国公立の方が比較的安価で、私立大学や専門学校では高額になりやすい傾向があります。入学金や教材費、実習費用なども含めると総額は大きくなりやすいため、事前に複数の学校の情報を調べることが重要です。看護師課程と合わせて学ぶ分、学費の総額が高くなる場合もあるので、できるだけ詳細な費用を比較検討しましょう。
教育機関別の学費目安
国公立大学の場合、年間の授業料はおおよそ50~60万円程度であることが多く、私立大学だと100万円以上かかるケースも珍しくありません。専門学校では入学金や設備費、施設利用費などが加算される場合もあり、年間の総額で数十万円の差が出ることがあります。こうした学費差だけでなく、学習環境や実習の充実度も同時に検討して選択しましょう。
奨学金や給付金の制度を活用するには
日本学生支援機構が提供する奨学金のほか、地方自治体や病院が独自に用意する貸与型奨学金を利用する方法もあります。貸与型の場合、一定期間勤務すれば返済が免除される制度があるなど、実質的な学費負担を大幅に軽減できることもメリットです。助産師を目指す学生向けの給付金制度を設けている自治体もあるため、こまめに情報収集してみましょう。
助産師の就職先と働き方
助産師の活躍の場は病院だけでなく、地域や保健所、助産院など多岐にわたり、自分のライフスタイルに合わせた選択が可能です。
大規模病院では総合的な医療体制の中で経験を積むことができますが、助産院はより家庭的な環境で妊産婦をサポートできる利点があります。保健所や自治体では、母子保健事業や育児相談会を主導する立場となり、地域に根ざした支援を行えます。自分がどのような働き方を望んでいるのかを明確にし、それに合った職場を探すことが大切です。
病院・助産院・保健所など多様な活躍の場
総合病院の産科ではチーム医療の一員として働き、多職種と連携しながらハイリスク妊娠などの高度医療に触れる機会があります。助産院では妊娠・出産を自然なかたちで見守り、個別性の高いケアを提供するため、独立性や柔軟な働き方が実現しやすいのが特徴です。保健所や行政機関では母子健康手帳の交付や家庭訪問など、地域母子保健の推進役として幅広い住民と関わります。
キャリアパスと近年の需要
実務経験を重ねることで、主任助産師や看護管理者などマネジメント職に進むことも可能です。さらに大学院へ進学して研究者や教育者の道を目指す人もおり、キャリアの多様化が進んでいます。少子化など社会状況の影響はあるものの、専門性を持つ助産師は医療現場や地域で高い需要を継続的に見込める職種です。
年収・給与事情と将来性
助産師の平均年収は看護師よりもやや高めで、働く施設や地域によって幅がありますが、およそ500~600万円前後が目安とされます。夜勤や緊急出動の回数が多い病院勤務では手当が加算されるため、年収はさらに上がるケースもあります。高齢出産の増加や女性の健康ケアに対する意識の高まりもあり、助産師の将来性は依然として大きいと考えられています。
助産師に向いている人・適性
助産師には専門的な医学知識や技術だけでなく、女性や新生児に対する思いやりと責任感も重要な資質となります。
妊娠や出産は女性にとって大きなライフイベントですから、相手の心情を察しながら適切にコミュニケーションを取れる力が求められます。突発的な事態に対応する体力や精神的なタフさも必要で、夜勤やオンコール対応を苦にしない柔軟さも欠かせません。さらに、学び続ける姿勢が大切で、新しい医療知識や技術を常にアップデートしていく積極性も重視されます。
求められる資質やスキル
女性の身体の変化や心理面のサポートに寄り添う共感力と観察力が必要です。分娩や産後のケアは想定外の事態も起こり得るため、臨機応変な判断と即対応できるスキルも求められます。患者さんやご家族と深く関わる機会が多いため、人間関係を円滑に築くコミュニケーション能力をしっかりと育むことが大切です。
志望動機を考える際のポイント
志望動機を明確にすることで、学習や試験勉強のモチベーションを高めることができます。例えば、実習やアルバイト経験で妊産婦や新生児のケアに触れ、そのやりがいを実感したエ“”ピソードを盛り込むと説得力が増します。ただ単に 人を助けたい という抽象的な理由だけでなく、自分がどう専門性を発揮して周囲に貢献したいのかを言葉にすることが重要です。
先輩の声とやりがい
現場の先輩たちが語るリアルな体験談からは、助産師という仕事の醍醐味や苦労が具体的に見えてきます。
先輩の多くが口にするのは、分娩に立ち会える喜びが何よりも大きいという点です。新しい命が誕生する瞬間をサポートできることは、大変さを上回る感動と達成感をもたらします。夜勤や緊急対応でスケジュールが不安定になることもありますが、それを支えるだけのやりがいやチームの温かさを感じるという意見が多く聞かれます。
先輩インタビューから学ぶリアルな体験談
夜間に急に分娩が始まり、病院中を駆け回るような緊迫した場面も珍しくありません。それでも元気な産声を聞けたときの安堵感や笑顔を見たときのやりがいは格別だといいます。予測不能なトラブルにも即座に対応できる体制や経験を積むことで、さらに自分の成長を実感できるそうです。
助産師ならではのやりがいや魅力
女性のライフイベントをトータルでサポートできる点は、助産師ならではの喜びといえます。出産に限らず、育児相談や女性特有の健康問題へのアドバイスを提供し、長期的に関われることが魅力です。こうした深い関わりから、女性たちが安心して育児に取り組めるよう導く手応えを感じられる職業として、多くの人が誇りを持っています。
まとめ
助産師は高い専門知識と責任感を必要とする一方、新しい生命の誕生をサポートするやりがいに満ちた職業です。
看護師免許の取得と助産師養成課程の修了を経て国家試験に合格するまでの道のりは決して短くありませんが、その先には大きな達成感と多様なキャリアが広がっています。学校選びでは学費やカリキュラム、実習環境を総合的に検討し、奨学金や給付金を上手に活用することで経済的負担を軽減できます。自分の適性や理想の働き方を踏まえ、着実にステップを踏んで助産師を目指していきましょう。

